トップページ > 環境遺伝医学総合研究センターについて

目的、理念

 子どもの成長と発達に関わる要因を明らかにし、予防医学的な見地から子どもの健康増進について総合的に取り組む、環境遺伝医学総合研究センターを東北大学医学系研究科に設置しました。
  環境遺伝医学総合研究センターでは、産科学、小児科学、胎児医学、衛生学、公衆衛生学、遺伝学、基礎医学のみならず多様な研究分野から構成される学際的な研究拠点を構築し、環境要因、遺伝要因、社会要因、生活習慣要因など多面的な研究展開を目指していきます。
  さらに、環境省が計画する「子どもの健康と環境に関する全国調査」(以下、エコチル調査と記す)の宮城ユニットセンターの機能を担当し、その調査を実践的に受け持ちます。環境遺伝医学総合研究センターの研究展開では、このエコチル調査で確立されるコホートを研究基盤として活用し構想していきます。

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環境遺伝医学総合研究センターとは

 子どもの成長と発達について、胎児期から学童期までを対象に関連要因を明らかにし、予防医学的な見地から子どもの健康増進を目指す研究基盤の構築を目指す実践的研究組織です。
  このため、関連学問領域として産科学、小児科学、衛生学、公衆衛生学、遺伝学、基礎医学など多様な研究分野から構成される学際的な研究展開を指向するとともに、研究対象も環境要因、遺伝要因、社会要因および生活習慣要因など多面的な要因の解明を目指していきます。
  特に、環境要因がエピジェネティクスに作用して遺伝子発現に影響を及ぼし、様々な疾患や症状を引き起こす可能性に着目し、遺伝-環境要因の相互作用に着目した研究展開を重視して行きます。環境要因の寄与が解明されれば、化学物質(薬物)、栄養、運動、心理的要因など介入研究への糸口となり、予防医学的な研究への更なる進展が期待されます。
 遺伝-環境要因の相互作用に着目した本研究の実施のためには、化学物質等のばく露評価を疾病罹患の前に行わなければなりません。したがって研究方法は前向きコホート研究、あるいはコホート内症例対照研究が必須となります。このため、環境省が計画するエコチル調査で形成される出生コホートの活用を目指し、エコチル調査において宮城県域に設定されるエコチル調査・宮城ユニットセンターの機能を、環境遺伝医学総合研究センターが全面的に担っていきます。
  このエコチル調査は、全国で10万人規模の新生児を登録し、13歳の誕生日まで子どもの成長と発達を追跡する出生コホート調査であり、その推進のためコアセンター(独立行政法人 国立環境研究所)、メディカルサポートセンター(独立行政法人 国立成育医療研究センター)および全国に15拠点がユニットセンターとして設置されています。宮城ユニットセンターは、その1つのユニットセンターとして、宮城県域で9000組の母児の参加を得てコホートの確立を目指していきます。

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エコチル調査とは

(ア) エコチル調査の概要

 エコチル調査は、環境省が立案、設計、実施する出生コホート調査であり、胎児期から小児期にかけての化学物質曝露が、子どもの健康にどのような影響を与えているのかを明らかにすることを意図した国家プロジェクトです。調査規模は全国で10万組の母児の参加を目指しており、調査期間は、リクルート3年、追跡13年、解析5年の計21年間に渡る構想となっています。この調査を実施するため、全国に15のユニットセンターが設置されますが、宮城県域においても、東北大学として9000組の母児を登録する予定になっています。

 

(イ) 国内外における環境保健に関する出生コホート調査の状況

 海外においては、米国で10万人規模の米国チルドレンズ・スタディ(National Children Study)が計画されており、2008年からパイロット研究が開始されています。欧州ではノルウェー(1999年〜、90,000人)ならびにデンマーク(1997年〜、101,042人)にて大規模出生コホート調査がすでに開始されています。
  我が国においては、東北大学による出生コホート調査が厚生労働科学研究費の支援を受けて2001年に開始され、次いで北海道大学を主体として同じく厚生労働科学研究費による「環境と子どもの健康に関する北海道研究」が2002年から開始されています。いずれも環境要因に関連して何らかの健康リスクがあることが示唆されており、その検証が求められています。しかしながら、有症率が低い疾患の検証や、比較的有症率が高くてもより低濃度での影響を明らかにするためには、十分なサンプル数による疫学的アプローチが必須であり、新たに10万人規模のデータの集積が必要と考えられました。

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東北大学へのエコチル調査・宮城ユニットセンター設置の意義

 上記のような現状認識の元に、2009年秋に環境省によりエコチル調査の実施を担当するユニットセンターの公募が行なわれました。ユニットセンターに求められた分担は、環境保健医学、公衆衛生学、周産期医学、小児科学、基礎医学、その他の学際的な研究分野が協同して、調査参加者のリクルート、13歳の誕生日に達するまでのフォローアップ、生体試料の採取、質問票調査の実施、個別相談窓口など参加者とのコミュニケーションとなっています。
  東北大学としてもエコチル調査に参加するためユニットセンター公募に応募し、すでにユニットセンターとして選定を受けています(2010年3月)。エコチル調査は小児を対象とした出生コホート調査としては初めてとも言える国家プロジェクトですが、東北大学は前述の出生コホートであるTSCDに加え、大迫研究、大崎研究など、多くの疫学調査の実績があり、エコチル調査の中で主体的な役割を担うことが期待されています。

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環境遺伝医学総合研究センターを東北大学医学系研究科に設置